なぜ香箱蟹を提供し続けるのか
前回の記事で、香箱蟹のお蕎麦は原価がかかるし手間もかかるから大変だとぼやいていましたので
人によっては『それならやめればいいじゃん』
と思う方もいるかもしれません。
では、なぜ提供し続けるのか
理由はいくつかありますが、大きく分けて三つあります。
3つの理由
【 ① 宣伝効果があるから】
時代背景として、料理写真をSNSに投稿されますが
そば蕎香のメニューのなかで『香箱蟹の玉とじあんかけ蕎麦』が一番多く投稿されますし、反響も大きいようです。
3〜4年前からでしょうか……その頃からSNSの影響によって一気に認知度が広まったように記憶しています。
ちなみに僕のアカウントは発信力はないので僕の投稿の影響はま〜〜〜ったくありませんよ。
全てはお客様の投稿の援護射撃によるものです。
いや〜、ほんとにありがたいです。
【 ② お蕎麦屋さんに馴染みのない方々の足を踏み入れるきっかけになればいい】
僕のイメージとしては世の中を見渡すと、蕎麦が嫌いとかではなく【シンプルに入るきっかけがなくて蕎麦を知らない=食事に行くときの選択肢に蕎麦屋が入らない】と言う方がまだまだ多くいらっしゃると感じています。
そして、歳を重ねて胃袋的にヘルシーなものを好むようになってからお蕎麦屋さんへGoみたいな流れのイメージです。
すいません……僕の偏見かもしれませんが。
僕はお客様に対して、僕のお店だけに来ていただきたいとは思いません。
もしも『蟹そば』のような変化球メニューがきっかけで蕎麦を知り、他のお蕎麦屋さんにも行こうとなれば、それほど嬉しいことはありません。
なぜなら、そば人口が増えれば、必然的に蕎麦業界全体が盛り上がるからです。
【 3 他のお蕎麦屋さんの追随を許さないため】
【追随を許さない=差別化】ですね。
これを言うと、なんだか一気に嫌なやつに見えてくるかもしれませんが……
すいません……本音なので。
っと言いますのも
何度も言っていますが香箱蟹の仕入れ値の高さと世話をする時間を考えても、2880円(税込)で提供するとなればこんな割の合わないメニューをフツーはやりたくないはずです。
本来なら…3500円……それでもまだ足りません……
4000円頂ければ……それでも内税なので実際の売値は3600円くらい…
4500〜5000円いただければ、提供する側からしたら妥当という判断ですが
それは置いといて…
だからこそやるんです。
差別化のために、他のお蕎麦屋さんがやりたがらないだろうからこそやるんです。
ただ、やるからには『切らさない努力』もします。
正直言って、ほどほどに仕込んでなくなり次第終了させて付加価値をつけるのは簡単ではありますが、僕はそう言うのは好きではありません。
どちらからお客様がお越し頂いているかわかりませんからね。
もしかしたら遠方からいらっしゃっているかもしれない。
である以上、求められればできるだけお答えしたい。
それでも切らしてしまったら、それはごめんなさいですけどね。
以上の三つが、この『諸刃のメニュー』を続ける理由です。
とは言うものの、年々出数が増えていまして。
蟹のシーズンは全ての休日の午後から夜の時間を蟹さんに捧げている状況です。
そろそろ対応しきれなくなりそう……
早くも来年が怖い。
取材依頼は受けられない
そんな状況なので、ありがたいことにテレビ局から頂いた収録の依頼もお断りもしました。
せっかくお声を頂いたのに申し訳ないです。
テレビで放送されればさらに蟹が出ますからね。
想像するだけで恐ろしや……。
てなわけで今回は、香箱蟹から見えてくる僕の経営戦略でした。
コメント