今では夏の定番
『夏の冷やかけ蕎麦』誕生
前回の記事で「季節限定蕎麦」を考案しことでメニューがお店の認知度を高めてくれたとサラっと書きましたが、今回はそれについて
「すだち蕎麦」なるものは随分前から出回っていて知ってはいたものの、実はその頃までは食べたことはなかった
お恥ずかしい話ではありますが、若い頃は繊細な味わいのお蕎麦にいろんな食材を合わせるのは邪道、という非常に凝り固まった考えを持っていました
ある日、僕が勝手に慕っていたお蕎麦屋さんへ行き「すだち蕎麦」があったので、食わず嫌いはダメだと思い食べてみたところ
「さっぱりしていてとても美味しい!」
このときの衝撃は今でも忘れません
自分の固定観念がぶち壊してくれた出来事
そして翌日、真似をして作ってみる
もちろん美味しい…
だが丸パクリというのが個人的に面白くない…
他に何か合わせられる食材はないかと考え、大根おろしと、刻んだ茗荷を乗せてみた
うん、これはいける!
この後、お出汁の試行錯誤を繰り返し『夏の冷やかけ蕎麦』が誕生しました
開業した初めての夏のことです

最初からヒットしたわけではない
認知が広まったのは3年目から
開業1年目で『夏の冷やかけ蕎麦』を出したが、経営が厳しかった2年目まではお客様の反応は良いが、いかんせんお店の存在を知られていないのでそれなりに出る、といった状況でした
3年目に雑誌の蕎麦特集だったかなんだったか忘れましたが取材依頼をいただきました
今ならSNSなどで情報が拡散されるが、この頃はまだ雑誌の影響が残る時代
この雑誌掲載が引き金となり、お客様が押し寄せ、「季節限定蕎麦」がきっかけとなってお店の認知を後押ししてくれたのです
変わり種=邪道ではく変化球である
こういった現象を目の当たりにして、私の考えも大きく変わりました
それまでは、シンプルな蕎麦にいろんな食材を合わせるのは邪道と考えていたんですが、いつも同じものでは飽きる、これは変化球なんだと
もちろんそれぞれ好みがあるので誰にでもこういった変化球メニューを食べてもらいたいとは思わない
だが、変化球メニューを提供することでお店を知ってもらうきっかけ作りになるかもしれない
しかし僕のお店の方向性もあるので、『和』に沿った形で考案していこう、と
学んだこと
この経験から固定観念に囚われることなく、自由な発想が大事だなと学びました
固定観念はあくまで個人が創り出したものであり、それは万人に受けるとは限らない
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