【蕎麦の出汁を濃いめに作ってある理由】
今回は、前回の記事と繋がる話です。
前回は、蕎麦の香りを愉しむため蕎麦を出汁につける(手繰る:たぐる、とも表現します)量は3/1と言いましたが、これには理由があります。
蕎麦を3/1ほどつけてすすることで、最初に蕎麦の香りを感じ取る。
そして、後から出汁の味と香りが入ってきて一体感を愉しむ。
そのために、出汁を濃いめに仕立ててあるわけですね。
☆今回の内容は、他の食材と組み合わせる「おろし」や「とろろ」には当てはまりません。「もりそば」や「天もり」をいただくときの話しです
もしも、これが薄めの出汁だと、どっぷりとつけなければ一体感を愉しめません。
仮にそうだとして、どっぷりと出汁をつけてしまうと、蕎麦全体に出汁がまとってしまい、繊細な蕎麦の香りを感じ取ることができなくなります。
これは、あくまで基本的にはこういったものです、と言うだけで、みなさん必ずこの食べ方をして下さい。と言うわけではありません。
それぞれの好みがありますからね。
好みは千差万別です。
僕も「そば蕎香」の出汁に蕎麦をどっぷりつけるのは食べれないこともないですが、濃すぎてかなりキツイです。
余談ですが僕の場合、蕎麦の繊細な味わいを愉しみたいときは、出汁をまったくつけずに蕎麦だけを食べます。
これはダイレクトに感じられるので、結構クセになります。
蕎麦とうどんとの比較
よく比較対象となるうどんと比べるとどうでしょうか。
うどんの場合は出汁にどっぷりつけますよね。
蕎麦は蕎麦そのものの味も愉しみ、出汁との一体感も愉しむのに対して、うどんはうどんそのものを愉しむことはなく、出汁との一体感を愉しむものと言う位置付けだと思います。
これは良い悪いではなくて、蕎麦粉と小麦粉の性質の違いであるということが一つ。
もう一つは、麺体の太さです。
細麺の蕎麦は出汁に触れる表面積が多くなるから出汁につけるのは少量で良い。
太麺のうどんは出汁に触れる表面積が少なくなるから出汁にどっぷりつける。
さらにもう一つは僕の持論ですが。
小麦が主体のうどんは麺の強度が強く、表面もツルツルなので出汁が浸透しにくい。
蕎麦粉が主体の蕎麦は麺の強度が弱く粉にもよるが、表面が粗っぽいから出汁が浸透しやすい。
以上のことから、蕎麦は出汁を少量つけて、うどんは出汁をどっぷりつけて愉しむという区別ができるのかなと考えています。
何度も言いますが詰まるところ、『個人の好み』によるところが大きいと思います。
蕎麦の愉しみ方を知った上で、それぞれの愉しみ方を模索していただければな〜っと思います。
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